「作業中に急に電源が落ちた」「画面がフリーズして動かなくなった」「ディスプレイに縦線が出て再起動しても直らない」――。こうしたトラブルでお困りの方は多くいらっしゃいます。特に業務でパソコンを使用されている方にとって、突然のシャットダウンは業務停止につながる重大な問題です。
今回は、福岡市で出張修理を行っているパソコンヘルパーが実際に対応した「突然電源が落ちるパソコン」の修理事例をご紹介します。本体の故障が原因ではなく、意外な“電源環境”の問題が引き起こしていたケースです。
【修理依頼内容】使用中に突然シャットダウンとフリーズ
福岡市内で店舗を経営されているお客様より、
「お店のパソコンの調子が悪く、突然電源が落ちて困っている」とご相談をいただきました。症状は次の通りです。
- パソコン使用中に突然電源が落ちる
- フリーズして操作不能になる
- ディスプレイに縦線が入る
【原因調査①】入念な検査でも症状が再現しない
まずはお預かりして、徹底したハードウェア検査を行いました。CPU負荷テスト、メモリ診断、SSD・HDDチェック、グラフィックカードの動作確認など、考えられるすべての検査を実施しましたが――症状は一切再現されません。お客様と一緒に店舗で動作確認を行っても、問題なく正常に動作していました。「一体なぜ?」という状況です。
【原因調査②】再発後の再点検と立ち会い検査
数日後、店長様より再びお電話が。「やはり電源が落ちた」とのこと。
再度お預かりし、今度はお客様にも立ち会っていただきながら厳しい負荷テストを実施しました。
しかしこの時も、電源は安定しており、不具合は再現しませんでした。
この時点で、パソコン本体そのもののハードウェア故障の可能性は低いと判断しました。
【原因の可能性】“電源環境”に注目
パソコン本体が正常にもかかわらず、現場でのみ不具合が起こる場合、見落とされがちなのが電源環境です。店長様ご自身も気になり、九州電力に依頼して電圧チェックを実施されましたが、調査結果は「異常なし」。それでも症状が続いていたため、現地環境を再度詳しく確認しました。
【現場で判明した問題点】
現地調査の結果、以下のような電源環境上の問題が判明しました。
- 店内全体がタコ足配線状態になっていた
- 電源タップが古く、接触が緩んでいた
- 複数の電化製品(レジ機器、プリンタ、照明など)が1つの電源タップに集中していた
これにより、電力供給が不安定になり、瞬間的な電圧降下や電流変動が発生していたと考えられます。
パソコンは精密機器のため、こうしたわずかな電源の不安定さに反応し、突然のシャットダウンやフリーズを引き起こすことがあります。
【ご提案と改善策】
原因を踏まえ、以下の改善策をご提案しました。
- サージプロテクター機能付き電源タップの導入
→ 雷や電圧変動から機器を保護します。 - パソコン専用の電源ラインを確保
→ 他機器と電源を共有せず、安定した電力供給を実現。 - タコ足配線の見直しと分散
→ 消費電力の高い機器を分散接続し、負荷を軽減。
改善後は、症状が完全に解消され、業務もスムーズに再開できました。
【まとめ】パソコン本体に異常がなくても、環境が原因のことがある
今回の事例からわかるのは、「パソコンが突然落ちる=本体故障」とは限らないということです。
特に店舗やオフィスなど、複数の機器を同時に使用している環境では、電源の安定性が大きく影響します。
【こんな症状があれば電源環境をチェック!】
- 一定の時間帯だけ電源が落ちる
- 特定の場所でのみ不具合が起こる
- 修理に出しても「異常なし」と言われる
- 周辺機器の電源も同時に落ちる
これらに当てはまる場合は、電源環境の見直しをおすすめします。
【パソコン電源トラブルを防ぐためのポイント】
・品質の良い電源タップを使用する
・サージプロテクター機能付き製品を選ぶ
・古い電源タップは定期的に交換
・タコ足配線を避ける
・パソコンは専用コンセントを使用
・電源コードやプラグをきれいに保つ



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